こんにちは、MATTU(@sunmattu)です。
スマホでは画面が折りたためるフォルダブルスマホが盛り上がっています。
Galaxy Z FoldシリーズやPixel Foldをはじめ、コンパクトなFlipスタイルだとGalaxy Z Flipシリーズ、motorola razr、至近ではワイモバイルからも低価格のLibero Flipが発売され、だんだん身近になってきています。
一方、PCでは、同じ画面が折りたためるスタイルも出てき始めていますが、至近では斬新な2画面PCも発表発売されるなど、スマホとはまた異なる進化をしているのが興味深いです。
たまたま、今回Lenovo ThinkPad X1 Fold 16(画面折りたたみ)とASUS Zenbook DUO UX8406MA(2画面)を同じ時期に両方お借りできました。
両方使ってみて感じた感触と、どちらを選ぶべきか?考えてみたいと思います。
商品貸出:レノボ・ジャパン(ThinkPad X1 Fold 16)、ASUS JAPAN(Zenbook DUO UX8406MA)
フォルダブルPC(画面折りたたみ型)と、2画面PCのラインナップ
それでは、まずはフォルダブルPCと2画面PCのラインナップをご紹介しておきましょう。
画面折りたたみ型フォルダブルPCのラインナップ
執筆時点(2024/3/5現在)で、フォルダブルPCは、
- Lenovo ThinkPad X1 Fold 16 (2022年10月発表、2023年11月国内発売開始)
- ASUS Zenbook 17 Fold OLED (2022年12月国内発売開始、メーカー発売終了)
- HP Spectre Foldable 17 (2024年1月国内発売開始)
の3機種が発売されています。
いずれも16~17インチ程度の、折り曲げられる1画面が搭載されたPCです。
ThinkPad X1 Fold 13も、動画にてレビューしておりますが、発売を終了しており今回は対象外とします。
ThinkPadとZenbookについては、MATTU SQUAREでも実機をお借りしてレビューしております。
細かいレビューを確認したい場合は、ThinkPad X1 Fold 16やZenbook 17 Fold OLEDのレビュー記事をご覧ください。
2画面搭載
続いて、2画面PCは現在以下の機種が発売されています。
- ASUS Zenbook DUO UX8406MA (2024) (2024年1月海外発表、3月国内発表・発売)
- Lenovo Yoga Book 9i Gen 8 (2023年12月国内発売、CPUが変更されたGen 9もCES2024で海外発表済)
2画面というと、先代までのZenbook Duo 14なども細長い画面のついた2画面モデルなのですが、使い勝手がだいぶ異なるため今回は対象外とします。
なお、上記のうちZenbook DUO UX8406MAをお借りしてレビューしています。
細かいレビューを確認したい場合は、Zenbook DUO UX8406MAのレビュー記事をご覧ください。
Zenbook DUOは購入して利用する予定です。
2画面PCとフォルダブルPCの、使い勝手の違いは?両者を実際に使って感じたメリット・デメリット
ThinkPad X1 Fold 16 と Zenbook DUO UX8406MA、両者を使ってきて感じたポイントを以下の通り、比較してみます。
画面・ディスプレイの違い
両者のPCを見比べて、一番目を引くのがディスプレイです。
ThinkPad X1 Fold 16は16.3インチの折り曲げられるディスプレイが搭載されています。
Zenbook 17 Fold OLEDやHP Spectre Foldable 17は17インチのディスプレイが搭載され、いずれも16~17インチ程度のサイズに収まっています。
中央のヒンジ部分も画面として続いているので、ベゼルがなく大きな1画面として使いやすいのは便利です。
Zenbook DUO UX8406MAは、同じ仕様の14インチ3K有機ELディスプレイが2枚付いています。
ヒンジ部分を境に上下についているため、2画面をまたいで利用したい場合には、コンテンツによっては中央部のベゼルが気になるかもしれません。
ただ、2画面合わせて19.8インチの大画面です。
普段分割表示でマルチタスク利用をしている方には、非常に自然に2画面表示を使えると思います。
フォルダブルPCのメリットは、中央に仕切りがないため、2分割表示をする場合にも用途に応じて境界を動かすことができる点です。
片方を大きく表示して見やすくしたい…などの細かい用途にも適しています。
2画面PC(右)は、上下の画面それぞれで割付を柔軟に変えられる(4分割なども結構楽に使える)
一方、2画面PCのメリットは、2アプリ以上の分割表示もしやすいという点です。
例えば、上画面で2分割、下画面で全画面表示、のような使い方で、3アプリを同時利用する、ということもできます。
画面も大きく、数アプリを開いて利用する場合にも使いやすいでしょう。
画面の解像度と外部モニターへの拡張性は?
16~17インチのフォルダブルPCは2560×1920~2024の解像度となっています。
一方、2画面PCの解像度は、1画面につき2880×1800の解像度です。
解像度について、通常の使用ではあまり意識することはないのですが、例えばゲームをする場合などには制約が生まれる場合があります。
例えば、ThinkPad X1 Fold 16でドラゴンクエストXのベンチマークを測定する際、縦長向きでの利用では「1920×1080」の表示が出ず、「800×600」しか出ませんでした。
ゲーム等ではできれば横長向きで利用したほうがいいかもしれません(横長向きでは1920×1080も選択できます)
横画面だと1920×1080でも選択できます
また、ディスプレイが大きな1画面のみなのか、2画面あるかによっても使い勝手が変わります。
例えばPowerPointでプレゼンする場合も、発表者ツールを使うならスクリーン側が1画面、PC側は全画面で1画面となります。
一応、発表者ツールはウインドウサイズを変えることは可能ですが、例えばPowerPoint以外のアプリでミラーリング表示でスクリーンに投影したい場合、画面の半分のみをスクリーンに投影することは難しいです。
より細かく作業したければ、Zenbook DUO UX8406MAのほうが使いやすい印象を受けます。
持ち運び・携帯しやすさ、重さ・大きさは?
フォルダブルPC・2画面PCともに、正直に言えば重く・大きくなりやすいのは現実です。
ThinkPad X1 Fold 16などのフォルダブルPCは、開いたときの厚さは均一になるため、閉じて持ち歩くときに厚くなりやすい傾向にあると思います。
HP Spectre Foldable 17の公表の重さは1.6kgと比較的軽めですが、ThinkPad X1 Fold 16はキーボード込みで1.9kgとなかなか重いです。
開封の際も、実際結構重くてびっくりしました。
一方、2画面PCも薄型のラップトップと比べれば重めではありますが、上画面側は従来のラップトップPC同様に薄くできるため、比較的薄い形状に落ち着きます。
キーボードを挟む形状だと、その分の厚さは上乗せされますが、ASUS Zenbook DUO UX8406MAは画面の大きさもあって、そこまで厚さ・重さを感じないです。
Zenbook DUO UX8406MAの場合、キーボードなしで1.35kg、キーボード付きで1.65kg(いずれも公称)で、ThinkPad X1 Fold 16と比べると軽めです。
「ノートパソコンモード」普通のラップトップPCとして使える?キーボードの使い勝手は?
フォルダブルPCも、2画面PCも、両方ノートパソコンのように使えるモードとして利用可能です。
両者とも、画面側にマグネットが仕込まれており、キーボードと磁石でくっつけてノートパソコンのように使えます。
ノートパソコンモード自体は各社対応していますが、考え方は各社変わります。
Lenovoは、ThinkPad X1 Fold 16・Yoga Book 9i Gen 8/9ともに、PC本体にキーボードを挟むのではなく、取り出して別途持ち歩く形になっています。
一方、ASUSのZenbook 17 Fold OLED・Zenbook DUOと、HP Spectre Foldable 17は、PC本体にキーボードを挟んで持ち歩けます。
Zenbook DUO UX8406MAは、マグネットでPC本体にくっつけた状態で、PC本体とPogoピンを介して物理的に接続されます。
自動的に充電もされますので、基本的に充電について考える必要がありません。
Bluetooth接続時も、追従性も非常に良く、非常に快適に使えます。
ちなみに、Zenbook DUOのキーボードは、Zenbook 17 Fold OLEDに似ている印象を持つ方もいると思いますが、格段にできがよくなっています。
装着時もキーボード中央部の浮きを全く感じませんし、接続も安定、打ち心地も非常に良好です。
フォルダブルPCの場合、HP Spectre Foldable 17はマグネット充電時にキーボードにワイヤレス充電されます。
ThinkPad X1 Fold 16・Zenbook 17 Fold OLEDは、キーボードのUSBポートに接続して充電が必要です。
スペックと冷却機構
スペックにも結構違いが生じています。
フォルダブルPCのチップセットは、各社ともに省電力仕様のCore i7-1250Uを採用しています。
構造上、ファンレスになるため、パフォーマンスとしては抑えめで、ブラウジングやWord・ExcelなどのOfficeなどは快適にこなせます。
画像編集・動画編集も、編集作業自体はこなせますが、レンダリング(書き出し)は結構キツそうです。
2画面PCのASUS Zenbook DUO UX8406MAは、Intel Core Ultra 9 185Hを搭載しています。
AI対応のNPUも搭載した新チップセットで、パフォーマンスも非常に強化されています。
ある程度の動画編集・画像編集も、書き出しも含めてパワフルに動作します。
2024年CESで発表された、Yoga Book 9i Gen 9もIntel Core Ultra 7 155Hを搭載すると発表されており、2画面PCのほうが現状のパフォーマンスは高いです。
また、2画面PCは構造上、普通のラップトップPCと近い構造を取れるため、冷却性能も優れています。
Zenbook DUO UX8406MAは、背面や側面の吸排気口があり、グラファイトシートやデュアルファンなどで冷却を促します。
実際に使って感じるのは、排気のエアーも涼しめで、しっかり冷却されている印象を受けます。
スペック・パフォーマンス周りは、Snapdragon X Eliteが搭載されたPCが発売されたら、だいぶ使い心地は変わりそう。
ファンレス構造のフォルダブルPCにも載せられるはずなので(Galaxy Z Fold5等のように)、フォルダブルPCが激変する可能性もあると感じています。
価格とのバランスは、圧倒的に2画面PCの方が優位
メーカー | フォルダブルPC | 価格(税込) | 2画面PC | 価格(税込) |
---|---|---|---|---|
ASUS | Zenbook 17 Fold OLED | 649,800円 | Zenbook DUO UX8406MA | 349,800円 |
Lenovo | ThinkPad X1 Fold 16 | 595,595円 (最安構成) | Yoga Book 9i Gen 8 | 382,800円 |
HP | HP Spectre Foldable 17 | 798,600円 |
フォルダブルPCの価格は、どれも60万円以上とかなり高価です。
画面折りたたみという構造上、どうしてもコストが上がるのは仕方がありません。しかし、パフォーマンスを考えると購入をためらってしまう価格ではあります。
それに対し、2画面PCの価格は比較的購入しやすいです。
ASUS Zenbook DUO UX8406MAは、349,800円。
Office 2021がバンドルされているため、ちょっと高めな価格ではありますが、十分購入を検討できる価格帯です。
Lenovo Yoga Book 9i Gen 8も、メーカー価格382,800円と、比較的近い価格です。
PCユーザーにとって、重視するポイントはやはりパフォーマンスだと思います。
パフォーマンスもしっかりしつつ、ある程度の価格に抑えられているので、現時点ではASUS Zenbook DUO UX8406MAのような2画面PCのほうが優位な印象です。
現時点では、現実的には2画面PC。将来が楽しみ!
今回は、画面折りたたみ型フォルダブルPCと、2画面搭載PCを比較しながら、両方使って感じた感触等を比較してみました。
執筆時点(2024年3月)では、「購入して利用する」前提に立って考えると、やはりパフォーマンスと価格が優位な2画面PCになると思います。
特に、ASUS Zenbook DUO UX8406MAは、キーボードの出来もよく、ジェスチャー操作なども細かく対応できるなど、非常に作りこみがしっかりしている印象です。
一度使ってみると、「これはド変態PCではない!めっちゃ堅実なノートPCに仕上がっている!」ということがわかるのではないかと思います。
ただし、フォルダブルPCの未来も、非常に楽しみです。
生成AI時代が到来し、Snapdragon X Eliteをはじめとするチップセット競争がさらに激化することが予想されます。
フォルダブルPC自体の構造の進化はもちろん、チップセットの処理性能の進化に伴って、今発売されているフォルダブルPCからさらにグレードアップされたものが開発されるかも、と思うと、非常にワクワクしますね。
PCの未来が、また面白いことになってきました。
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