こんにちは、MATTU(@sunmattu)です。
AIが強化されたWindowsの「Copilot+ PC」として、Snapdragon X Eliteに続いてAMDもRyzen AI 300シリーズ搭載モデルが発売されました。
その中で、今回発売直前からRyzen AI 9 HX370の搭載された「ASUS Vivobook S 14 M5406WA」をメーカー様よりお借りしました。
AI PCとして先行発売されているSnapdragon X Eliteや、Intel Core Ultra 9 185Hと比べて、どれだけ使いやすくなっているのか?検証してみましたので、レビューしていきます。
商品貸出:ASUS JAPAN株式会社
美しいフォルムにパワフルな性能!ASUS Vivobook S 14 M5406WAをチェック!
ASUSから、AI PCが続々と発売されております。
2024年8月よりAMD Ryzen AI 300シリーズの搭載された8製品が発表され、順次発売されております。
この中で、今回ASUS Vivobook S 14 M5406WAをお借りすることができました。
スリムでエレガントな筐体!
Vivobookは、スリムで高級感のあるエレガントな筐体をしています。
今回のVivobook S 14 M5406WAは、スタイリッシュなニュートラルブラックを採用し、非常に洗練されている印象。
天板のヒンジ側(下の写真では下側)にある、ヒンジとヒンジの間の少しへこませたような切り欠きが結構おしゃれですよね。
側面は、楔形のようなシュッと細いボディがたまらないです。
スペックは高めですが、冷却機構は非常にこだわられていますし、それでいて1.3kgという軽さはなかなかにすごいですね。
鮮やかで美しい14インチ有機ELディスプレイ
ディスプレイは14インチの有機EL。構成によりますが最大120Hz駆動が可能です。
Vivobook S 14 M5406WAは、16:10のディスプレイを採用しておりまして、絶妙な使い心地を実現します。
なお、タッチパネルは搭載していません。
なかなかに美しいASUSの有機ELディスプレイが見ごたえあります。
また、画面上にはプライバシーにも配慮したフロントカメラがあり、物理シャッターにて遮断することも可能です。
ちょうどいい、打ちやすい日本語キーボード
キーボードは、日本語(JIS)キーボードを採用しています。
14インチPCで余裕のある配列のため、右側のEnterキー付近も近接しているキーはあるものの打ちやすさは感じません。
13インチだとEnter周辺が細かくなりがちで、15インチだと10キーなどが右側に配置されて打ちにくさも感じるので、個人的には14インチが最もキーボードが打ちやすい大きさだと思っています。
タッチパッドは、音量調節・動画の早送り・戻し・明るさ調整をタッチパッドの3隅のドラッグ操作で行えます。案外コントロールに手間をかける音量や明るさは、このように簡単に調整できるのがいいですね!
充実のポート類!HDMIも、USB Type-C・Type-Aも、microSDも搭載!
Vivobook S 14 M5406WAは、ポート類も充実しています。
端末左側にHDMI、USB Type-Cx2、microSDXC、3.5mmイヤホン端子、右側にUSB Type-A端子があり、非常に充実してます。
電源はUSB Type-Cでの充電となりますが、付属しているACアダプターは90Wと大きめのものになります。
外出の際に充電する場合には、ご注意ください。
AMD Ryzen AI 9 HX370の実力は!?動作・ベンチマークをSnapdragon X Elite・Intel Core Ultra 9 185Hと比較!
今回Vivobook S 14 M5406WAに搭載されているのはAMD Ryzen AI 9 HX370です。
AI用のNPUは50TOPSと、Snapdragon X Eliteを超える性能を搭載しています。
同じ「AI PC」としては、Copilot+ PCであるSnapdragon X Eliteや、2024年初頭より発売されているIntel Core Ultra 9 185Hがあります(185HはCopilot+ PCではありません)。
これらのPCと比べて、AMD Ryzen AI 9 HX370はどの程度の性能を発揮できるでしょうか?
ベンチマークテストを行いましたので、比較していきます。
※以下のベンチマークは、注釈のない限り電源に接続し、ファンモードは「フルスピードモード」(最強のモード)にて行っています。
CineBench 2024
CineBench 2024では、CPUの性能を確認することができます。
CineBench 2024でのスコアは、Multiで1096、Singleで115でした。
Snapdragon X Eliteでは、ASUS Vivobook S 15 S5507QAが同じ90W入力等条件が並んでいます。
黄枠で囲んだVivobook S 15 S5507QA(Snapdragon X Elite X1E-78-100搭載)やZenbook DUO UX8406MA(Intel Core Ultra 9 185H搭載)を主な比較対象としてみます。
Ryzen AI 9 HX370のCPU性能としては、マルチコアの場合Snapdragon X Eliteと同程度、 Core Ultra 9 185Hの1.4倍程度のパワーを持っていることがわかります。
参考:CineBench R23
CineBench R23は、マルチコアが20365、シングルコアが2018となりました。
ARMネイティブのエディションがないため、Snapdragon X Elite搭載PCではエミュレーションでの測定となっております。
Intel Core Ultra 185Hではマルチ13062、シングル1781となりました。Ryzen AI9 HX370では、やはりマルチコアで1.4倍程度のスコアとなっています。
GeekBench 6で、CPU・GPUのスコアを確認!
続いては、マルチプラットフォームでCPU・GPUのスコアを測れるGeekBench 6で測定してみます。
CPUは、シングル2869、マルチ15165、GPUは41972となりました。
CPUのスコアとしては、CineBench 2024と同等の傾向を示していると思われます。
Ryzen AI 9 HX370のGPUスコアでは、CPU内蔵のグラフィックを使っているものの中では圧倒的で、Snapdragon X Eliteの2倍、Core Ultra 9 185Hの1.3倍程度のスコアとなっています。
参考:PassMark Rating(PerformanceTest 10.1)
PassMark Ratingでは、Snapdragon X Elite搭載端末が3Dグラフィックの測定の一部がうまくいかなかったので、比較は参考程度に考えていただければと思います。
総合スコアでは至近のゲーミングを除くノートPCの中では圧倒的で、パフォーマンスが高い印象です。
PCの使い勝手は?PCMark 10でチェック
PCMark 10では、ビデオ会議・表計算・画像編集・動画編集・ゲームなど、使用シーンごとにスコアの測定が可能です。
PCMark10では、Snapdragon X Eliteでは動作しないため、Core Ultra 9 185Hなどとの比較のみ掲載します。
全体的に高めのスコアで、アプリ立ち上げ・ビデオ会議・ブラウジングを測るEssentialや、Excel・Wordの処理性能を測るProductivityではゲーミングPCのROG Strix G16 G614JVRを抜いています。
ゲームソフトのスコアは?ファイナルファンタジーXV BENCHMARK ver.1.3
ゲームソフトのスコアでは、ファイナルファンタジーXVのベンチマークで標準品質:4453、軽量品質:5349となりました。
これもSnapdragon X Eliteはエミュレーションとなっています。
Core Ultra 9 185Hよりスコアは高いものの、少し高い程度です。
動画編集や書き出しは快適?Davinci Resolve Studioで検証
Davinci Resolve Studio 19(有償版)にて、動画編集や書き出しを行ってみました。
動画編集の様子は、レビュー動画の中でも行っています。
動画編集については非常に快適で、かなりスムーズに動作します。
4Kで19分12秒の動画を書き出してみると、エンコーダーモード「Auto」で16分29秒、「Native」で16分17秒でした。
「AMD」も選択可能だったのですが、エラーで書き出しができませんでした。
Core Ultra 9 185Hの「Auto」モードは15分24秒が最も速いです。
Snapdragon X Eliteでの書き出しに比べると、Ryzen AI 9 HX370はパワーがありますね。
なお、Snapdragon X EliteではNPUで処理されるMagicMaskは、Ryzen AI 9 HX370ではNPUでは動かず、おそらくGPUで処理されていました。
その他、Copilot+ PCでウリになっているライブキャプションなどAIで動作するものも一部検証してみたのですが基本GPUが動いていて、NPUは無反応になっています。
Copilot+ PCの多くの機能は、Windows 11の対応待ちとなっているようで、ペイントのコクリエイターやウェブカメラのテプロンプターなどはまだ利用できない状況です。
電池持ちの比較【高負荷時・画面ON時】
Snapdragon X EliteとRyzen 9 AI HX370での、高負荷時の電池持ちテストも行ってみました。
今回は、前回と同様に
- 19分12秒の4K動画書き出しを2回
- Night Raid Stress Test (3DMark)を2回
- 終了後は画面ONのみで操作せず
を行い、縦軸・横軸スケールを合わせたうえで重ね合わせています。
今回は時間ではなくタスクを揃えたため、動画の書き出し時間の差もありRyzen 9 AI HX370のほうが優位な結果となっています。
動画編集や書き出しの用途では、パワー・時間・消費電力を総合するとRyzen AI 9 HX370のほうが優位でしょう。
一方、今回テストしたNight Raid以外にも、高負荷なゲームを行う場合には、電池持ちとしてはSnapdragon X Eliteのほうが消費電力が少なくなる傾向にあります。
なお、Night Raidを電源接続しない状態でテストすると、Snapdragon X EliteであるVivobook S 15 S5507QAでは23788、Ryzen AI 9 HX370であるVivobook S 14 M5406WAでは25273でした。
多少の数値の差ではありますが、電源未接続状態ではパフォーマンスはそこまで変わらなさそうです。
また、負荷テスト終了後の画面ON状態での電池持ちを比較してみると、省電力がウリのSnapdragon X Eliteと、Ryzen AI 9 HX370の傾きがあまり変わらないのが特徴的です。
Vivobook S 14 M5406WAのスペックまとめ
項目 | Vivobook S 14 M5406WA | |
大きさ | 310.5×221.9×13.9~15.9mm, 1.3kg | |
画面 | 14.0インチ OLED(有機EL) 1920×1200 120Hzリフレッシュレート | 14.0インチ OLED(有機EL) 1920×1200 60Hzリフレッシュレート |
SoC | AMD Ryzen AI 9 HX 370 | AMD Ryzen AI 9 365 |
メモリ | 32GB LPDDR5X-7500 | 24GB LPDDR5X-7500 |
ストレージ | 1TB | 512GB |
グラフィック | SoC内蔵(AMD Radeonグラフィックス) | |
AI機能 | AMD Ryzen AI(最大50TOPS) | |
バッテリー容量 | 75WH | |
カメラ | 207万画素赤外線カメラ内蔵(プライバシーシャッターつき)Windows Hello 顔認証対応 | |
オーディオ | ステレオスピーカー内蔵(1Wx2)・アレイマイク内蔵 Bluetooth LE Audio対応 | |
ペン対応 | タッチパネル非搭載 | |
通信 | Wi-Fi 6E対応 Bluetooth 5.3 | |
ポート | USB Type-C (USB4/PD対応) x1 USB Type-C (USB3.2 Gen1/PD対応)x1 USB Type-A (USB3.2) x2 3.5mmイヤホンジャックx1 HDMIx1 microSDXCカードリーダーx1 | |
価格 | 209,800円 (2024/8/1発売) | 169,800円 (2024/9/上旬発売予定) |
Vivobook S 14 M5406WAの魅力!洗練されたボディとパワフルな動作!
今回は、ASUS Vivobook S 14 M5406WAをレビューしました。
スタイリッシュで洗練されたボディ、1.3kgと軽量ながら非常に快適に動作します。
CPU性能はモバイルノートの中では最強クラス、GPUもCPU内蔵グラフィックとしては非常に性能が高いです。
仕事で使いたい方や、動画編集などクリエイター用途で使いたい方は(ある程度は)非常に便利に使えるのではないでしょうか。
一方、AI性能についてはCopilot+の各機能自体はWindowsの対応待ちとなっています。
これから拡張されるAI機能も楽しみにしておきましょう!
コメント