こんにちは、MATTU(@sunmattu)です。
Amazon Kindleから大型電子ペーパー端末「Kindle Scribe」が発売されました。
Kindleは6インチ、B6程度の大きさのものが多かったですが、Kindle Scribeは10.2インチ、B5程度と2倍にまで広がり、単行本や雑誌の電子書籍でも非常に読みやすくなっています。
また、Kindleとして初めてのペン入力にも対応。手書きノートを作成することもできますし、自前のpdfや一部書籍にも手書きメモを残すことができます。
大型Kindleとしては読みやすく、ペンの書き心地もいいのが非常に気持ちいいですが、「電子ペーパー端末」として仕事や勉強の用途にはどれだけ使えるでしょうか?
今回は、Kindle Scribeのメリット・デメリットをレビューしていきます。
[2023/11/20更新]Kindle Scribeが11月にも機能アップデートが行われ、手書き文字を検索・コピペ可能なPDFとしてPCなどに添付できるようになりました。
[2023/7/7更新]Kindle Scribeの発売から半年で大幅に機能アップデートが行われています。追記・更新しています。
手書きメモもできる「Kindle Scribe」の魅力
まずは、Kindle Scribeの魅力をレビューしていきましょう。
高級感のあるKindle Scribe!大きめで、ちょうどいい!
Kindle Scribeは、アルミ製ボディで素敵。
今までのKindleでも、価格の高めなKindle Oasisではアルミボディを採用しており、似た質感です。
ボディの質感は両者似ていますが、持ち手側(ベゼルが太い側)は厚みもあるKindle Oasisとは異なり、Kindle Scribeは厚みが均一です。「ペンで書く」を意識しているからでしょう。
また、背面には、PCにはよくあるすべり止めが施されています。
ゴム製ですので、テーブルに置くときも柔らかい音がします。
スマホやiPadなどのタブレットより、テーブルに置くときの安心感もありうれしいです。
Kindle Scribeは10.2インチ、Kindle Oasisは7インチ。
インチは対角線の長さなので、面積にすると100対49。2倍の広さを誇ります。
大きな画面でKindle書籍を読みたい、という方にはいいでしょう!
国内メーカーの電子ペーパー端末としては、富士通のクアデルノが有力です。
Kindle Scribeと、第2世代のQUADERNO A5を比較してみると、端末の大きさの違いはありますが画面は全く同じ。
Kindle Scribeは片側の横側にベゼルが寄っていますが、QUADERNO A5は縦(上下)に少しベゼルがあります。
上の写真は、同じPDFを、大きさもほぼそろえて表示した状態(バックライトはオフ)です。
条件をそろえて表示させると、文字の見やすさや細かさはほぼ同じように見えます。
実際には、Kindle Scribeはバックライトがついており、あまり意識せずに自然に表示できます。
PDFの文字領域を認識し、最大化表示されています。
QUADERNO A5(第2世代)にはバックライトは搭載されておらず、PDFは初期状態では拡大されずに表示されます(ピンチイン操作で拡大可能です)
手書きメモ、書き心地がめちゃくちゃいい
Kindle Scribeは、手書きメモの書き心地がめちゃくちゃいいです。
ペンは付属されていますが、スタンダードペンとプレミアムペンの2種類があります。
迷わず「プレミアムペン」を選びましょう。サイドボタンと消しゴムが使えるのは大きいです。
ペンのサイドボタン(ショートカットボタン)は、設定で変更可能です。
初期状態では「ハイライト」(蛍光ペン)になっていますが、消しゴムに割り当てたほうが手書きの際は便利です。
ペン自体は、ワコムのEMRペンを採用しているようです。
Galaxy Note・Sシリーズで付属しているSペン(Fold Editionを除く※)や、富士通のQUADERNO(第2世代)、BOOXシリーズのペンも同じように使用可能です。
※Fold Editionは「消しゴム」として動作します…
クアデルノと書き心地を比較してみましたが、同じペンで書いても画面側の摩擦が異なります。
クアデルノのほうが画面側の摩擦が強く、Kindle Scribeのほうがすらすら~っと書ける印象です。
Kindle Scribeは摩擦が抑え気味ですが、iPadのようにつるつるとした感じではなく、字が躍るような感じではありません。
なおかつ動作が速いのが好印象です。
電子ペーパー自体は画面切り替えの際にリフレッシュがかかることもあり、液晶・有機EL画面と比べると基本ワンテンポかかります。
Kindle Scribeも同様ではあるのですが、マシン動作としても、他社10インチ端末に比べ比較的速い印象があります。
ペンを書いているときの追従性や、メニュー選択・画面表示切替などでも、ほかの電子ペーパー端末より「快適」といえるでしょう。
それが書き心地にも影響している気がします。めっちゃ快適。
Kindleの純正端末、だからこその「電子書籍」を読む快適さ。画面も大きく読みやすい
Kindleシリーズだから当たり前ではあるのですが、Kindleの電子書籍を読む快適さが、ほかの電子ペーパー端末とは段違いにいいです。
▼実際に動作の様子を動画でも公開しています
書き心地でも言及しましたが、動作が快適。
また、BOOXなど他の電子ペーパー端末は、AndroidのKindleアプリを無理やりインストールして動作させているので、画面遷移などが結構もたつきを感じます。
Kindle Scribeは、Kindle純正端末ということもありかなり快適です。
上の動画では、Kindle ScribeとBOOX Nova3 Colorで比較していますが、Kindle Scribeのほうがだいぶ快適であるということがわかるでしょう。
レイアウトが固定されている電子書籍では、従来のKindleだと拡大しないと読めない時もあったりしましたが、Kindle Scribeは結構くっきり読めます。
電子ペーパーは画面リフレッシュなどの関係で、できれば拡大せずにそのまま読めたほうがサクサク読めます。
大画面でサクサク読める便利さと、Kindle純正端末ならではの快適さを掛け合わせた、非常に頼もしい端末に仕上がっていますね。
シンプル。「紙とペン」を再現した使い心地。ペンの種類・投げなわツールはアップデートで追加!【アップデート2023/2・5】
Kindle Scribeのノートブック機能は、良くも悪くもシンプル。
基本的には、「紙とペン」を再現したような使い心地です。
ペンの種類としては、Kindle Scribeは1パターン+蛍光ペンという編成。色も黒一色のみと、シンプルでしたが、アップデートで、ペンの種類は「ペン」「万年筆」「サインペン」「鉛筆」の4種類に増えました!(2023/2)
また、手書きを選択してコピー・移動が可能な「投げなわツール」も、Kindle Scribeには発売時点で搭載されていませんでしたが、アップデートで投げなわツールが追加されました!(2023/5)
発売当初は「シンプル」といえる手書き機能でしたが、発売から半年で大幅なアップデートによりかなり進化しています。
純正の「プレミアムレザーカバー」がかなりいい感じ
Kindleはサードパーティからも多くカバーが発売されていますが、Amazon純正のKindle Scribeプレミアムレザーカバーがいい感じです。
「プレミアム」という名の通り、高級感のあるレザーで仕上がっています。
縦開きですが、折り目が二つ付いています。
Kindle Scribe本体は、磁石でくっつけます。
着脱が簡単ですし、左利きの方は180度ひっくり返した状態で使えるのもうれしいです。
テーブルの上に角度をつけて置くことができます。
ちょうどいい角度で、書き心地はいい感じです。
ペンは、ケースの下のホルダーにしまっておくことも、Kindle Scribe本体のサイドに磁石でくっつけることもできます。
かなり満足度の高いカバーです。
Kindle Scribeの、PCや他デバイスとの連携周りは便利?
Kindle Scribeを使って、ちょっとモヤモヤするポイントをご紹介します。
PCとのデータのやり取りは「Send to Kindle」で。
Kindle ScribeへPDFを取り込む際は、「Send to Kindle」という機能を使ってメールなどで送る形となります。
また、ウェブ用「Send-to-Kindle」を使うと、ブラウザからアップロードすることも可能です。
書き込んだPDF文書やノートを取り出す際も、メールで送信すると取り出せます。
ワンタッチでメール送信が可能です。
Send to Kindleで送り込んだPDFに、文字などを書き込んで、もう一度PDFでメールで戻す、なんてことも可能です。
アップデートで、手書きをテキスト化・検索可能なPDFとして添付しての送信にも対応【アップデート2023/5・2023/11】
2023年5月のアップデートから、エクスポート時にテキストに変換するモードも搭載されました。
さらに、2023年11月のアップデートから、「ノートを検索可能なPDFとして添付」する機能も搭載されています。
右から二つ目の「シェア」ボタンをタップすると、シェアする範囲を決めることができます。
現在のページか、ノート全体をシェアできます(2023/11アップデートで追加)
また、複数のページを選択することも可能です。一番左のボタンを押すと、ページ一覧をグリッド表示できます。
ページの1つを長押しすると、複数のページを選択できます。複数をチェックし、「シェア」を押すと、シェアが可能です。
「テキストに変換してEメールで送信」を選択すると、プレビューが表示されます。
日本語の精度はまぁまぁ、英語の精度はかなりいい感じがします。
この画面でタップすると、テキストデータを編集することも可能です。
あとは送信先を選択して送信すると、メールには以下のようなファイルがダウンロードできる形で送信されます。
「テキストに変換して~~にクイック送信」を選ぶ場合は、上のようなプレビューは表示されません。
すぐに、送信されます。
2023年11月のアップデート後は、上のような2つのボタンが表示されるので好きなほうをダウンロードします。
「検索可能なPDF」のほうは、手書き文字が失われないことから、メモ執筆当時の情報を(図なども含めて)そのままエクスポートできるのは大きいですね。
アップデートで、PCのWordから直接Kindleに送信する機能に対応【アップデート2023/4】
2023年4月のアップデートから、Wordファイルを直接Kindleに送信できる機能が実装されています。
PCのMicrosoft Wordのメニューからエクスポートを選択すると、「Kindleにドキュメントを送信する」というメニューが追加されています(エディションによりまだ利用できない場合もあります)
テキストデータとして送信するのか、レイアウトを固定した印刷ドキュメントとして送信するかを選択します。
すると、このように1~2分程度でWordファイルのデータがKindleに配信されます。
クアデルノはプリンタドライバに「Send to Quaderno」がありますが、Kindle ScribeはWordであればエクスポートできます。
ExcelやPowerPointなどでも同様に「印刷」できれば便利ですよね!
PCで「ノートブック」を閲覧する方法
他のデバイスでは、「ノートブック」についてはAndroid向けKindleアプリなどでも確認可能です。
PCなどで確認する場合は、Windows 11でAndroidアプリが入れられる最新のバージョンにしていれば、Amazonアプリストアから最新のKindleアプリをインストールすることで、ノートブックを閲覧できます。
ただし、ノートブックの中身を閲覧することはできますが、編集やエクスポートはできません。
エクスポートする場合には、Kindle Scribeから1ファイルずつ、エクスポート操作が必要です。
ノートの数がそんなに多くなければ、大した手間にはなりません。
仕事などで書類の数が増えると、バックアップをその都度行う必要があり、書類が増えると管理が大変だと思います。
手書きの書き心地がいいのは素晴らしいのですが、電子ペーパー端末に慣れた方がペンでの手書きをメインで使うには、少し大変だと思います。
書類を全部Kindle Scribeに入れて管理する、というのではなく、会議など議事録をメールでその都度クイック送信し、毎回PCやメールでデータを蓄積する(ほんとに走り書き程度のメモ)、という形であれば、いいのかも。
Kindleのクラウドサーバーと自動同期はされているようなので、このファイル操作などがアップデートなどで使いやすくなることを期待したいですね。
なお、富士通のクアデルノは、PCとの連携機能が秀逸なのです。仕事で手書きメモや文書管理をメインで使いたいという方は、クアデルノのほうがいいかも。
Kindle書籍への手書きメモ、固定レイアウト書籍は対象外。
Kindle Scribeへの手書きメモは、Kindle電子書籍でも書くことができます。
基本的には、書籍に付せんをつけたところにメモをする形です。
対象の書籍では画面端にペンのメニューが表示されます。タップで付せんをいれ、画面下側のメモウインドウ内にメモをします。
イメージとしては、紙の書籍に付せんをつけ、その付せん上にメモをするような形で、電子書籍上に直接手書きメモができるわけではありません。
メモした手書きメモは、メモ一覧としてまとめてエクスポートする機能も搭載されています。
今までの「テキストメモ」同様に、メモデータをまとめられます。
ただし、固定レイアウトの電子書籍は対象外です。
固定レイアウトの電子書籍では、ペンのメニュー自体が表示されません。ページに付せんをつけることはできますが、メモを入れることはできません。
PDFファイルは、Sendle to Kindleで入れると手書き・テキスト選択の両方が可能に!【アップデート2023/5】
PDFファイルに手書きメモをしたい方は、「Send to Kindle」機能を使いましょう。
正式に買った電子書籍には手書きメモすることができず、自炊などしたPDFでは書ける、というのは、何とも皮肉な話のようにも思います。
また、ソフトウェア更新により「Send to Kindle」機能を使って取り込んだPDFファイルは、アップデートで文字の選択ができるようになりました!ハイライト等も可能です。(2023/5)
なお、USB経由でPDFを直接端末に取り込むと、手書きメモが使えません(テキストメモは可能です)。
PDF内でのテキストを辞書引きで検索することができます。
PDFの転送方法によって使える機能が変わるのは、厄介ですね。
Send to Kindleの機能をメインで使ったほうが便利そうです。
Kindle Scribeは、「Kindle」の枠を超えつつある次世代の電子ペーパー端末。今後の展開にも期待したい
今まで、多少のテキストメモはできるものの多くは「読むだけ」であったKindleが、「書く」「メモする」という機能を拡充してきました。
端末が大きく・重くなったことで、「手持ちで利用」より、膝の上やテーブルの上での利用、というように、利用シーンが変わるかもしれません。
ただ、ペン対応により使える機能が増えるのは、非常にうれしいです。
書き心地や操作感は本当に素晴らしいと思います。
課題は、メモ・ノートの他端末(PC・クラウド含めて)の連携でしょう。個別にファイルを送受信するのであればそこまで問題にはならないですが、ファイル数が増えるとつらくなると思います。
あと、Send to Kindleで送ったファイルたちもフォルダ管理できると便利かも。
ライブラリに1冊ずつ並ばれると、結構管理が大変です。
第1世代が出たばかりですが、発売から1年間で機能追加のアップデートが頻繁に行われています!
今後もさらなる便利な機能が追加されると嬉しいですね!
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