こんにちは、MATTU(@sunmattu)です。
Snapdragon X Eliteが搭載された、Copilot+ PC対応のWindows PCが2024年6月18日より一斉に発売されました。
Microsoftからは、Surface Laptop 第7世代とともに、Surface Pro 第11世代がついに発売されました!
今回、Snapdragon X Elite搭載PCとしては、Surface Pro 第11世代を購入しましたので、発売日当日に開封・実際に使った様子をレビューしていきます。
Snapdragon X Eliteは4つのSKUがあり、Surface Pro 11ではX1E-80-100(上から3つ目)が搭載されています。
X1E-78-100のPCは、先行してASUS Vivobook S 15 S5507QAをレビューしているのですが、動作性能は違いがあるでしょうか?
また、ARM対応チップとしては、2019年に発表(国内では2020年2月に発売)したSurface Pro Xから流れを継いでいます。
5年で非常に進化を感じています。
今回は、Snapdragon X Elite搭載のSurface Pro 11を開封レビューしていきます!
Snapdragon X Eliteのプロセッサータイプと、搭載製品
クアルコムが手掛ける最新のPC用「Snapdragon X Elite」は、合計4つのタイプがあります。
メーカー・種類ごとに搭載製品が異なりますのでご注意ください。
Snapdragon X EliteとSnapdragon X Plusのプロセッサータイプ
クアルコムのHPによれば、Snapdragon X EliteとSnapdragon X Plusのプロセッサーには以下のようにタイプが分かれています。
下位版のSnapdragon X Plusは1タイプのみですが、上位版のSnapdragon X Eliteはその中で4つのタイプがあります。
Oryon CPU(オライオン)や、Adreno GPUの一部仕様が異なりますので、ご注意ください。
Snapdragon X EliteとSnapdragon X Plusのプロセッサーごとの製品
Snapdragon X Eliteは4つのプロセッサーがありますが、プロセッサーごとの製品は以下の通りです。
※SurfaceのみWebで仕様が公開されておらず、サポートに問い合わせた内容をもとに記載しています。
実際の製品が異なる場合はわかり次第更新します。
最上位の「X1E-00-1DE」は、Surface Laptop 第7世代のみ。
第2位の「X1E-84-100」はGalaxy Book4 Edge 16インチのみが該当します(国内未発表です)。
今回レビューするSurface Pro 第11世代は、Snapdragon X Eliteの中では第3位の「X1E-80-100」となります。
Snapdragon X Plusは1種類のみ構成されており、3つの製品がラインナップされています。
進化したSurface Pro (第11世代) をチェック!
それでは、進化したSurface Pro (第11世代)を開封していきましょう。
青いサファイアの美しいボディ!スリムで持ち運びも便利!
今回筆者が購入したモデルは、Surface Pro (第11世代) Snapdragon X Eliteモデル(OLED搭載)のサファイアです。
青いサファイアを選んでみたのですが、非常に光沢感のある美しい青ですね!
パステルカラーを想像していたのですが、実機では少し暗さも加わったかっこいい青です。
本体はひんやりしていて、美しいです。
Surface Proはキーボード別の2 in 1デバイスではありますが、本体側は厚さ9.3mm、重さ895gと、非常に軽量、持ちやすいです。
以前から使っているARM対応のSurface Pro X(2020年発売)は厚さ7.3mmでしたので、2mm程度厚くなっています。
(Surface Pro 8・9・10は厚さ9.3mmで同じです)
ポートは今までと同様、左側面にUSB Type-Cポートが2つ。
右側面側にSurface Connect端子があり、付属の充電器で充電できます。専用のトラベルハブを使えばデータ転送・HDMI映像入出力等も可能です。
電源ボタン・音量上下ボタンは、上面の左側にあります。
キックスタンドは無段階での調整が可能で、角度を自由に調整できます。
ディスプレイは、Snapdragon X Eliteモデルは有機EL搭載!非常にきれい!
ディスプレイは、13インチ 2880×1920(3:2)のディスプレイで、最大120Hzの動的リフレッシュレートに対応しています。
今回購入したSnapdragon X Eliteモデルでは、有機ELが搭載され、非常にきれいなコンテンツを楽しむことができます。
なお、価格安めのSnapdragon X Plusモデルでは、LCDが搭載されます。
また、ディスプレイはタッチパネルに対応し、Surface Penでの入力にも対応しています。
今回、テキストボックスなどの入力にもSurface Penで手書きすると、自動的にテキスト変換する機能も搭載されています。
キーボードは、分離して使えるSurface Pro Flexキーボードが楽しみすぎる!
Surface Pro (第11世代)とともに発売されたのは、Surface Pro Flexキーボードです。
今まで、Surface Proではマグネットで装着し物理接点で接続するカバーキーボードをメインに販売されていました。
Surface Pro フレックスキーボードは、キーボード部分とBluetoothで接続されることにより、分離して利用することができるようになります。
Surface Pro Flexキーボードのブライトサファイアを購入はしているのですが、製造遅延とのことで到着が遅れています。到着が楽しみです。
現在は、Surface Pro Xの際に使っていたキーボードを装着して使っています。
Surface Pro (第11世代)は、Surface Pro 8・Surface Pro 9・Surface Pro Xで利用していたキーボードと互換性があるため、簡単に入れ替えて使うことができます。
互換性があるというのは非常にいいことですね!
通常の対応Surfaceキーボードは2万円台からで、それを使うこともできます。
SSDは取り外し可能
今までのSurfaceと同様、Surface Pro (第11世代) は、スタンドを開くとその下にSSDを収納するドアがついています。
このドアは磁石でついていますので、くぼみのところを強く押すと簡単に開けられます。
SSDが足りないときやトラブルの際は、ここから交換することも可能です(推奨はしないですが…)。
交換時は、ちゃんとバックアップを取っておきましょう。
執筆時点ではWi-Fiモデルのみ発売されています。
2024年秋から、5Gモデルも発売されます。5GモデルのSIMも、ここから入れられると思われます。
Surface Pro (第11世代)のスペックと動作をチェック!
Surface Pro (第11世代)のスペックと、Snapdragon X Elite搭載モデルの動作をチェックしていきます。
Surface Pro (第11世代)のスペック
項目 | Surface Pro (第11世代) Snapdragon X Eliteモデル | Surface Pro (第11世代) Snapdragon X Plusモデル |
---|---|---|
大きさ | 287x208x9.3mm, 895g | |
画面 | 13インチ PixelSenseディスプレイ OLED 2880×1920(267PPI) 3:2 最大120Hz動的リフレッシュレートレート対応 Corning Gorilla Glass 5 | 13インチ PixelSenseディスプレイ OLED 2880×1920(267PPI) 3:2 最大120Hz動的リフレッシュレートレート対応 Corning Gorilla Glass 5 |
SoC | Qualcomm Snapdragon X Elite | Qualcomm Snapdragon X Plus |
メモリ | 16GB/32GB LPDDR5x RAM | 16GB LPDDR5x RAM |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB Gen 4 SSD(取り外し可能) | 256GB/512GB Gen 4 SSD(取り外し可能) |
グラフィック | SoC内蔵(Qualcomm Adreno GPU) | |
NPU | SoC内蔵(Qualcomm Hexagon) | |
バッテリー容量 | 53WH | 48WH |
カメラ | 超広角1440p QHD、自動フレーミング・アイコンタクト・背景ぼかし対応 Windows Hello 顔認証対応 リアカメラ10.5MP Ultra HD | |
オーディオ | 音声フォーカス搭載Dual far-fieldスタジオマイク Dolby Atmos搭載2Wステレオスピーカー Bluetooth LE Audio対応 | |
Surface Pen対応 | 対応(Microsoft Pen Protocol(MPP)対応) | |
通信 | Wi-Fi 7 Bluetooth 5.4 | |
ポート | USB Type-C (USB4/Thunderbolt 4) x2 3.5mmイヤホンジャック Surface Connectポート Surface Proキーボード専用ポート nano SIM(対応モデルのみ) | |
購入ページ | マイクロソフト公式 | マイクロソフト公式 |
CPUの性能は?CineBench 2024のベンチマーク
今回は、同時に発売したASUS Vivobook S 15のベンチマークや、Intel Core Ultra 9 185H搭載のASUS Zenbook DUO UX8406MA、5年前にARM Windowsの流れを作ったSurface Pro Xなどとベンチマークを比較していきます。
CPUの性能は、ARMネイティブでも動作するCineBench 2024で測定しています。
Surface Pro(第11世代)は、マルチ837、シングル121となっています。
5年前のSurface Pro Xと比べると5倍近い値を出しており、実際に動作させても非常に快適です。
AI PCを謳っているCore Ultra 9 185Hを搭載している、ASUS Zenbook DUO UX8406MAよりも、Surface Pro (第11世代)のCPU性能はよいことがわかります。
マルチコアでも20%程スコアが高いです。
一方、同じSnapdragon X Elite搭載のASUS Vivobook S 15 S5507QAは、SoCとしてはSnapdragon X Eliteの4つの型番の最下位である「X1E-78-100」を採用していますが、X1E-80-100であるSurface Pro(第11世代)より高い数値をたたき出しています。
おそらく供給電力の差だったりするのではないかとは思います(Vivobook S 15は90W、Surface Proは39WのACアダプターが付属されています)。
グラフィック性能は?GeekBench 6でチェック!
GPUの性能は、GeekBench 6で確認してみます。
GeekBench 6もARMネイティブで動作します。
CPUのベンチマークでは、CineBench 2024に比べてSnapdragon X Elite同士のベンチマークスコアが近い印象です。
あまり差がないようにも感じます。
GPUのスコアも、Snapdragon X Eliteのスコアは両機ともOpenCLで20600程度。Vulcanでは24500程度のスコアでした。
Zenbook DUOは32000と、グラフィックのスコアとしてはIntel Core Ultra 9 185Hのほうが上を行っています印象。
3DMark Wild Lifeでもテスト
3DMarkのARMネイティブで動作するWild Lifeでも動作させてみました。
Surface Pro (第11世代)では15570でした。
なお、同じSnapdragon X Elite X1-78-100のASUS Vivobook S 15 S5507QAでは19483、Intel Core Ultra 9 185H搭載のZenbook DUO UX8406MAは15829というスコアでした。
FPSのストレステストをかけてみると、Snapdragon X Eliteのほうが安定している印象でした。
動画のレンダリング(書き出し)は?Davinci Resolve Studio 19 Betaでチェック!
Davinci Resolve Studio 19 Betaでは、ARMネイティブで動作するエディションがリリースされました。
いつものXperiaの4Kレビュー動画(19分12秒)を書き出して、レンダリング速度を比較してみます。
Davinci Resolveでは、有償版の「Davinci Resolve Studio」での「Auto」などのモードでないと、ハードウェアアクセラレーターを利用できないのですが、Snapdragon X Elite搭載デバイスは有償版・無償版ともに同等の書き出し速度を実現できています。
(これはMacBook Proでも同様です)
速度自体はグラフィック性能によるためか、そんなに速くはないのですが、無償版をお使いの方は高速レンダリングを体感できると思います。
なお、Davinci Resolveでサポートする一部のAI機能については、有償版のDavinci Resolve Studioでないと使えない、などの制限がある場合があります。ご注意ください。
Copilot+ PCで、使えるAIが続々!
Copilot+ PCで使えるAIが続々と登場しています。
ちなみに、Copilot+ PC(執筆時点ではSnapdragon X Elite・Plus搭載PC)でのAI機能は、メーカーが独自にAI機能を提供しているものを除いては、各社OEMメーカーとSurfaceでも機能差はありません。
例えば、Copilot+でのペイントではCocreatorという機能があります。
キャンパスに適当に絵をかき(生放送中だったのでめちゃくちゃ適当です)、作成する画像の説明に簡単に説明を書きます。
今回のCopilot+ PCでは、任意のテキストボックスにペンで手書きすると、自動的にテキスト化してくれる機能も搭載されています。
すると、こんな感じで、Cocreatorの欄に生成した画像を表示してくれます。
創造性のつまみを調整することもできますし、絵のテイストを選ぶこともできます。
Cocreatorの欄の画像をクリックすると、元のキャンパスにコピーしてくれます。
Surface ProのWebカメラは高画質ということもあり、かなりきれいに撮れます。
アイコンタクトの「テプロンプター」は、画面内の他の場所を見ていてもカメラを直視しているようにAI補正してくれる機能です。
この補正等も、NPUをつかっておこなわれているのがわかります。
リコール機能はInsider Previewに先行提供される形で、一般提供はまだ先ですが、使えるAI機能はだんだん増えている感じです!
Surface Pro (第11世代)とSnapdragon X Eliteの相性、なかなかよさそう
Snapdragon X Eliteは、ASUS Vivobook S 15 S5507QAの先行レビューの方で電池持ちの検証なども行っていますが、ヘビーな用途でなければかなり省電力で運用できるのが特徴的です。
外出先での一般的な事務作業、PowerPoint、取材対応などなど、普通の処理ではPC自体も熱くなく、ファンもほぼ回らず、電池の減りもかなり抑えられている印象。
ハイスペックを必要とするシーン(ヘビーなゲームや動画書き出しなど)では、もう少しパワーが欲しいような気もしますが、ほとんどのシーンでSnapdragon X Eliteのパワーは必要十分な感じもします。
CPU性能は高く、スリープ明けなどの動き始めのもっさり感は全くないのも好印象です。
AIについては、まだ使えない機能もそこそこ多いため検証はこれからすべきだとは思いますが、今後の機能拡充に期待したいところ。
現在使えるWebカメラのテプロンプターは、オンライン会議が多いような方にはかなり便利だと思います。NPUを適切に使っていて、これぞオンデバイスAIの力、という感じがします。
今後、Surface Pro Flexキーボードなども使って、Snapdragon X EliteとSurface Proの新しい使い心地を体感しようと思います。
1日使ってみて、非常にワクワクするPCであるように感じました。
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